虎になって

虎になっていきる、虎になって眠る

自己プロデュース力

暇さえあればyoutubeのしっぽだ。

 

林檎嬢こと椎名林檎さんは皆さんご存知だろう。彼女の自己プロデュース力はとんでもないものである。これについては語り出したらきりが無い。更に言えば、林檎嬢について語るにはまだまだ時期尚早、もう少し寝かして、今以上に芳醇なシードルになってから美味しくいただこうと思う。

 

同様に、自己プロデュースが極めて上手い人々が、しっぽの日常に溶け込んでいる。youtubeで見るゲーム実況者である。冒頭「暇さえあればyoutube」とは誇張でなく、「兄者弟者」「三人称」の2グループのアップされた動画、それが終わったら過去の動画、一度見た動画も見ちゃおうか、そんなことをしてたら一日が終わる。作業中もBGMのように流すことがあるし、寝る前もぼんやりと流し見する。この2グループは、自分の中でゲーム実況2大巨塔だ。

両グループの面白い動画、おすすめの動画などを紹介すると、どうしても長くなってしまうのでまた次の機会にして、今回はゲーム実況者を代表する「兄者弟者」「三人称」のメンバーについてと、自己プロデュースについて少し書こうと思う。

 

 

team2bro.は「弟者(おとじゃ)」「兄者(あにじゃ)」そして昨日誕生日を迎えた「おついち」で構成されている。昨日の「おついち」というワードがTwitterの急上昇ランキングへのランクインや、たくさんのファンアートから、2bro.のアイドル級の人気が伺える。

低く渋い声、2bro.切り込み隊長的な弟者は、お酒を飲むと少し"とろん"としたり、お兄ちゃん達(兄者やおついちさん)が居ると、ついはっちゃけたりと癒やし要素もあり、根強い人気がある。FPSゲームローグライクゲームが特別得意であるが、3人の中では最も幅広い実況をしている印象を受ける。

2bro.の司令塔で、よく考え理詰めでゲームをやる兄者もまた、落ち着いてクールな声である。日本語版が出ていないような海外ゲームも、得意の英語を駆使して2人を導く。徹底してクールで、それでいて実は勝ちにこだわる熱い面もあり、こちらも人気はすごい。シュミレーションゲームやレースゲーム担当で、粘り強く長期の実況もこなす。

2bro.の縁の下の力持ち(バリバリ前線で活躍しますけどもね)的なポジションのおついちさんは、編集、アートを担当。古川登志夫さん(ピッコロの声)とよく似た、素敵な通る声の持ち主で、動画内では最年長ながらに子供のようにはしゃぐ姿が見られ、萌えポイント高めである。ウィッチャーと、デビルメイクライ、ディビジョンが担当で、公式から認められるウィッチャー実況は#100を超える長編である。

3人ともゲームに留まらないカルチャーへの豊富な知識、豊富な体験があるようで、話しているだけでも貫禄がある。兄者弟者でスクール・オブ・ロックに出演した際、重い内容のお便りに真摯に答えていて、自分の中で高感度が跳ね上がった事を覚えている。

 

team2bro.は、実は全員アラサー、アラフォーなのだが、この人気ぶり。全員の良い声と、トークの軽快さ、ゲームプレイの上手さでこれほどまでの人気を得た。この人気の一部理由として、「徹底して顔を出さない」ということが挙げられると思う。ファンからすると、動画のスタイルにマッチしたおついちさんの絵、その中の姿が、team2bro.の姿そのものなのだ。ラジオの対応や動画内で見せる紳士的な選択から、心はなかなかのイケメンであるだろう。勿論外見も高身長であったりと、魅力的である。しかし、動画のスタイルに合い、さらに各々の素敵な声にピッタリと合った、おついちさんのあの絵のイメージに勝る姿である事は難しいかもしれない。それを踏まえて、徹底して顔出しをしないというのは、視聴者の理想的な「2bro.」であり続けるのに、一役買っているだろう。

声という情報で勝負していることから、ゲーム以外にも声のお仕事が増えつつある事やオールナイトニッポンに出演した事からしても、彼らのスタイル、自己プロデュースは成功していると言える。

 

 

つぎに「三人称」。こちらも三人組のグループ実況者である。

おっとりマイペースな「ドンさん」こと「ドンピシャ」は、内向的な3人の中では唯一お酒が飲める事もあり(?)他実況者さんとの関わりも多い。動画でも積極的に盛り上げていく感じで、三人称親しみやすさランキングで毎年1位である事からも、なんだかんだ三人称の主砲なのかな、と思ったり思わなかったり。koeというバンドでドラムを叩いている、バリバリの音楽家である。

「ぺーさん」こと「ぺちゃんこ」は、第一印象としてはしっかりもの、その後の印象としては宇宙、という感じ。彼のフリートークはめちゃくちゃ面白いし、引き込まれるが、引き込まれたまま出られないこともしばしば。なんだかんだで様々な事件を起こしているし、実は一番破天荒なのかもしれない、と思うのだが、3人の中ではツッコミに回ることが多い。三人称は3人とも編集センスがずば抜けているが、その中でもぺーさんの編集は大変高く評価されている。こちらもkoe所属でベース担当の音楽家

「鉄塔さん」こと「鉄塔」(流れで書いたけども、不思議な字面)は、小説家や和太鼓演奏グループのメンバーとして毎年ロシアに行くなど、マルチな活動が目立つ多彩な人物。ワードセンス抜群で、落ち着いた実況は心地よく、良い意味で睡眠導入剤などと評されることも。鉄塔さんの魅力の1つとして、身を切る自虐があるが、天才的に面白い。学生時代から拗らせた「ぼっち」エピソードはしっぽからすると宝の山で、同じくぼっちであるしっぽからすると共感することが多くて、彼のトークヘッドバンキングさながらの相槌をうつものだ。現在エッセイも連載中なので、そちらを覗いてみることを強くおすすめする。

3人は、恋のお悩みやくだらない下ネタから、真面目な人生相談や、言いづらい生放送視聴の際の態度に関する苦言(これが特に凄い事)まで厚くカバーするトーク力を持つ上、生放送中書き込まれた自身への誹謗中傷を拾って笑いに昇華するなど、経験から導かれる対応力は素晴らしいものだ。

 

さて、この3人もまた全員がアラサー、アラフォーである。普段の実況や雑談放送(週に一度3人で、視聴者からお便りを募りテーマに沿った?雑談を放送したもの)の感じから、2broとは少しベクトルの違う面白さ、和ませる面白さが強みだと考えられる三人称は、全員顔出しをしながらも、千人規模のトークショーのチケットが売り切れ、イベントとバレンタインが重なったときにはダンボールでチョコを持ち帰る程の、アイドル級人気っぷりだ。人気の秘訣の一つとして、「彼らの視聴者に寄り添うスタイル、視聴者と共に楽しむスタイルに、顔出しというのはマッチしていること」が挙げられるのではないだろうか。顔出ししているからこそトークショーができるわけだし、ゲーム実況以外のマルチな活動とのリンクができるわけだし、それらに伴った旅番組風動画も作れるというわけだ。それにより、ゲーム以外のファンもつくなど、顔出しがプラスに働いていると思うのだ。マルチな活動とのリンクがきっかけでこちらも声のお仕事に挑戦したばかりで、これから活躍はますます広がっていくだろう。そう考えると彼らもまた、自己プロデュースに成功していると言える。

 

「顔出ししない」という2bro.と、「顔出しする」という三人称、両者のスタイルは、顔出しという観点からは正反対であるが、それぞれの長所を活かす素晴らしい自己プロデュースであると思う。

 

ここまで書いて、自己プロデュースの重要性に気付くと同時に、各々の魅力がなければプロデュース以前の問題だな、と気付かされた。文字に起こすことで、メンバーの紹介と自己プロデュース云々の分量の割合が、圧倒的に前者に傾いている事を見せつけられたからだ。

という事で結論、凄い上によい自己プロデュースをした結果、唯一無二のゲーム実況者がうまれた。こんなところでどうだろうか。両グループの益々の活躍が楽しみで仕方ない。さあ、youtube見ないと、ということでしっぽでした。こんな長文駄文ですが最後までどうも。