虎になって

虎になっていきる、虎になって眠る

友情

あまりの運動不足に危機感を感じて筋トレを始めたしっぽだ。トゥタッチ腹筋(爪先と指先をくっつけるタイプの腹筋)が、持ち前の運動神経からか、全くうまくできず、まるで岸に揚がったマグロのようになってしまう。こっちは真面目だかんな。

 

さて、今回はしっぽがぴちぴちの18歳の時に体験した、友情にまつわるしたいと思う。これは如何にしてしっぽという人間もどきが産まれたか、そのストーリーの末端を担う話だろう。

 

高校時代ーまだしっぽが人間をやって社会に馴染んでいた頃ー音楽という共通の趣味をもった友達が同じクラスに2人いた。FちゃんとI君としよう。そのふたりとは音楽の趣味もまあまあ合って、I君はツイッターのフォロワー10万人前後ぐらいのバンドが好き、Fちゃんは地元のライブハウスに通ったり、かなりマニアックなアーティストまでディグディグしてる娘だった。そんな音楽オタクのFちゃんはそこまで可愛くなかったのだが、愛想が良くて話を聞くのが上手だったので男女問わずみんなの人気者だった。そして、当然のようにイケメンサッカー部のS君と付き合っていた。

しっぽが通っていた高校はサッカー部に力を入れていて、立派なグラウンドや本格的なトレーニングルームがあるなど設備も整っていた。そんな風潮の中サッカー部は調子に乗りまくり、制服を着崩し、肩で風を切り、大声で喚きながら校内を徘徊する、陰キャ一同からすると鬱陶しい存在だった。さらに投資額の割に合わない活躍ぶりで、他の運動部からも部費泥棒などと影で罵られていた。奴らは知らないだろうが。

そんな中、S君は制服を綺麗に着て、落ち着いた学校生活を送る他、学級委員を務めるなど真面目な活躍ぶりだった。部活の方でもレギュラーでバリバリ活躍する、嫉妬するほどの完璧超人だった。それでいて驕り高ぶることもなく、Fちゃんの友達だからというだけで登下校中トボトボ独りで歩くしっぽに声をかけてくれるなど、いやはや性格までイケメンなのだ。Fちゃんも気が利いてクラス活動ででしゃばらない程度に皆をまとめて補佐する、みたいな出来る女の子で、委員長をやっていたしっぽは副委員長をやっていた彼女に随分助けられた。そんな二人はお似合いのカップル、他のバカップルとは違って公衆の面前でイチャコラしないとか、応援したくなる関係だった。

 

そんな中、何となく怪しい風をしっぽは感じていた。FちゃんとI君の距離が近い気がしてならない。近すぎる。しっぽと同じクラスだからよく分かる。I君、もしかして気があるんとちゃうか、そう思ってしまう程二人の距離は近かった。極めつけは、ぶらりと寄ったハコに、FちゃんとI君の二人でいたこと。あれ、S君は?と聞くと、ああ、今日はいないのなどと曇った返事。でも考えすぎかな、彼氏持ちに手を出すクソ男じゃないよI君は、そう思った当時のしっぽ。確かにI君もしっぽに声をかけてくれるような爽やか男子だったから、思い過ごしだと思った。友達とライブハウスに行くのは普通だし、と。

 

それから一月ほど経っただろうか、FちゃんとS君が別れたと、I君から聞いた。

I君「FとS、別れちゃったって」

しっぽ「そうなの!?あの二人はお似合いだったからちょっと残念だな〜」

I君「どうも、俺とFが仲いいのを勘違いしたらしくて、嫉妬しちゃったみたいなんだよね。相談されたけど何もできないしさ〜。申し訳ないことしたな〜。」

しっぽ「あ〜」←コミュ障発動&いやお前結構悪いだろの「あ〜」

I君「そんなつもりは全然ないんだけどね〜」

しっぽ「あっ、ないんだ。ちょっと安心した。」

I君「そりゃそうだよ。あはは。」

しっぽ「そうだよね。あははは。」

 

そうして、S君も嫉妬すんるだな、と思ったり、テストなり行事なりに追われるうちに2週間はあっという間に過ぎていった。

疲れて帰ったあと、公式からのラインが12,3件溜まっているのを見て(当然すべて公式からである)、既読でも付けるか、とアプリを開く。目に飛び込んできたタイムラインには、FとIのツーショット。いや友達とのツーショットをトプ画にするのは普通だし。自分に言い聞かせた。

次の日Iから、「しっぽには言っとかなきゃっておもったからなんだけど、俺たち付き合うことになりました。」とご丁寧な報告を受けましたよ。はい。しっぽ人間不信の始まりです。男女の友情は成立しない派になりました。

いや怖いよ。どっちからアプローチしたか知らないけど、Iからのアプローチなら破局の原因がアプローチとかマジ訳わからんし、しかも俺に「そんなつもりは全然ないんだけどね。」とか言ったじゃんかよお。でなんだ、たとえFからのアプローチだとしてもIはお前が原因でいざこざがあったんだぞ、しかも興味ないんなら断れやしっかりよお。聞いたときには鳥肌ゾッワぁぁぁぁってたって、苦笑いで「あ、ああ、おめでとう、うん」みたいな返事が精一杯だった。

 

当時陰キャだった一方で学級委員なんてやっちゃう真面目で無垢なしっぽは、その日以来人間の裏の面を探るようになった。それほどにショッキング、お昼のドラマと同じ分類の出来事が自分の直ぐ側で起こった、そんな感覚だった。今思えば随分と多感だな、と思うが、人との距離の置き方、人の見方は癖になってしまった。

完璧備忘録みたいな記事、最後まで読んだ方はご苦労さまです、クソつまらなかったでしょう。次は音楽の話とかもうちょいまともな記事書きますんでどうぞよろしく。通常運転、オチもなく終わりだ、どうも。